手前と奥の異なる方向にある出入口を、共に患者用として利用しなければならない運用上の理由を前提としてレイアウトしなければならなかったところが最大の難関でした。
それぞれの出入り口を活かすためカウンターを中央に配置し、隔離待合・診察室をバックに固めその周りを患者動線とする院内周遊型とする事で解決を計りました。
また、乳児用の待合はビルの特長ともなっている出窓に置き、病児との距離も保っています。
2階という立地条件もあり、大通りに面したガラスにはクリニック名は勿論、子供たちの目にも留まり易い大きな樹木をモチーフにしたサイン計画をご提案しました。
そのイメージは院内にも『クロスに印刷』という比較的新しい手法で再現し、インパクトがありながら優しい空間つくりになっています。待合中央に置く子供用一人掛けスツールも切り株の形の物を遊び心で置いてみたところ、子供たちにはとても気に入ってもらっているようです。
大きな物や仕掛けでは無く、クロスという安価な材料でも工夫次第ではその空間を彩るアイテムとして重要な役割を担える良い例です。
豪華な材料、値段の高い材料でなくとも先生の持っているコンセプトを表現できる工夫や提案が出来なければコストコントロールも出来ません。使いこなしてきた経験はもとより、常に新しい物も取り入れていく柔軟さもプランニングには大切です。