内科において27坪は決して広くはありませんが、先生のやりたい事、必要とする事が 開院前にきちんと整理され、絞り込まれていると、逆にそのコンパクトな空間を活かして 配置を工夫し、先生が僅かな移動距離で全てをこなせるというとても作業性の高い クリニックが出来る良い事例です。内視鏡室と処置室を特注の大きな引き戸で区切り、普段は 開けておく事により患者さんに窮屈感を与えない空間演出も功を奏し高い評価を頂きました。
駅前立地のビルの2階。建物も特徴的なので少しクリニックの中の雰囲気も伺えるように 出来ないかという作り手としての願望と、先生とスタッフにとっての回遊性、そして患者さんの プライバシーの確保、駅に面したガラス面・躯体の丸柱を巡るプランニング中の葛藤は とても贅沢な悩みでした。それがすんなり進行出来たのはやはり先生がこれだけあれば 十分と言える位、診療に対する明確なコンセプトをお持ちだった事。妥協や諦めでは無く、 これさえあれば大丈夫というコアが落とし込めたからこそまとまったプランでした。
内視鏡の実績が胃・大腸あわせて四万件以上の先生の開院は地域の方々の期待はもとより ですが、先生を知るドクターの方々も気になるらしく内覧会には多数お見えになりました。 『綺麗だね』は勿論新装なので当たり前なのですが、『何か使い勝手良さそうでいいなあ』は してやったりです。『外からみたらコンパクトな建物だけど中は意外と広いんだね』は万々歳。 いえいえ決して広くは無いですよと思いながら、そう感じて頂ける空間つくりの大切さを あらためて実感。プランニングとは必要性を保った上での、平面と立体の同時進行です。