設計当初から先生と拘ったのは、訪れた患者様に狭さを感じさせないという事でした。 先生・スタッフ方のスペースをぎりぎりまで削り、待合ソファーの奥行きも5cm減に喜びを 感じるというストイックなプランニングとなりました。その甲斐あって、内覧会に訪れた方々に 実際の面積(28坪)を伝えると誰もが「えっ?」となる空間に驚かれていたそうです。
内科のクリニックとしては決して広くは無いものの、先生の診療方針がしっかり固まって いたのと同時に、誰を優先すべきかがはっきりしていたので可能となったプランでした。 待合のイメージも先生からの要望を実現することに主眼を置き、提案よりもそのイメージを 施工者として纏め上げる作業に力を注ぎました。提案したものを押し付けるのではなく、 真摯に耳を傾け具現化していく事もあらためて大切だと思った案件でした。
人の距離感は一つの空間の中にあってもまちまちです。ベーシックな寸法も狭いと感じる 方もいれば、必要にして十分と捉える方もおられます。その曖昧な基準を満たすのは容易な 事ではありません。その妥協点は、まとまりのある空間でありながら惑わすアイテムや造作により 得られるもの、と考えます。アドミニスタッフのメンバーには商業施設の店舗創りに携わった面々も 在籍します。快適な空間作りに業種という垣根を越えてトライしています。